出力
Cat C27ディーゼルエンジンのドライブトレーンへの出力伝達が12 %向上しました。その結果、大径ドライブシャフトやディファレンシャルギヤなどのドライブトレーンコンポーネントも向上した出力に対応するよう一新され、より堅牢になりました。
テクノロジ
Gシリーズには、新しいプラネタリ式パワーシフトトランスミッションコントロールストラテジ(APECS)が採用されています。APECSには、電子制御クラッチ圧力制御(ECPC、Electronic Clutch Pressure Control)の長所を採り入れ、パートスロットルシフティングとトルクシフトマネジメントを追加しました。この結果、極めてスムーズな自動車並みのシフト動作と乗り心地が実現しています。APECSは、シフト動作中もトルクと推進力を維持し、傾斜地での性能も向上させています。この結果、停止状態からの素早い発進と極めてスムーズなシフト動作や乗り心地が実現しています。
インテリジェンス
新しいトラクションコントロールシステム(TCS)は今回、ステアリング感応型になり、タイヤのスピンと高速転回の識別を行うことができるようになりました。システムには、油圧動作のサービスブレーキ(これまではスプリング動作のセカンダリブレーキ)を新たに採用し、作動時間の短縮と低速での制動を可能にしています。GシリーズのTCSは、2つのホイールグループ間の出力と制動を瞬時に制御することで、地面の状態に適切に対応し、安定した接地状態に戻る時間を短縮しています。
新設計のブレーキ
Gシリーズでは、ブレーキ機構のスプリングの数が増加されました。これにより、ブレーキを解放するために使用できる力を増大させ、クリアランスを確実に維持して摩耗を低減しています。新たにリアホイールにブレーキ摩耗インジケータを装備し、ブレーキ寿命の監視ができるようになりました。
オプションのCatエンジンブレーキを選択すると、さらにブレーキ寿命を延長することができます。この設計は、機械の減速を行うARC(Automatic Retarding Control、オートマチックリターダコントロール)とも連携します。
リアホイールスチールスピンドル
Gシリーズのホイールスピンドルは、頑丈な鋼製で相互交換が可能なため、使用寿命が延長されます。
倒立リアシリンダ
Gシリーズでは、リアサスペンションシリンダを倒立させ、ロッドの保護性能を改善し、長期間に渡り異物が付着しないようにしています。
構造物
鋳造部品を新設計し、ボルト止めされた接合部を改良し、リアアクスルを大型化することで、シャーシ設計をトラックの定格出力と性能仕様の向上に対応させました。
エンジン
Gシリーズトラックは、Cat C27ディーゼルエンジンの高い生産能力と信頼性を兼ね備えています。
- C27では、出力が12 %向上し、より高いトルクで作業を行うことができます。
- Cat MEUI™燃料インジェクタと電子制御の持つ精度と応答性能により、C27は高い精度で燃料、排出ガス、性能の制御を行うことができます。
- C27は、騒音を減少させ、不要な摩耗を防止する振動制御により慎重にバランス取りされています。
- C27の冷却は、デマンドファンまたは従来型の冷却ファンで行われます。
プラネタリ式パワーシフトトランスミッション
制御システムが新しくなったこのトランスミッションは、その信頼性をさらに向上させています。自動車並みにスムーズなギヤチェンジやシフト変更中のトルク増大などにより、加速力を向上させ、迅速に傾斜面に対応できるようになりました。
NOx低減
クリーンな燃焼や超低硫黄ディーゼル燃料、低灰分オイルとともに、エンジン搭載式のCat NOxリダクションシステム(NRS、NOx Reduction System)技術を使用することで燃焼室温度を下げ、NOx生成量を制御しています。
PM低減
エンジンの最上部にディーゼル酸化触媒(DOC)を2つ(各排気アウトレットに対して1つずつ)搭載しています。このディーゼル酸化触媒が粒子状物質の排出量を減らします。
北米以外でトラックを購入するお客様については、Tier 2規制相当の排出ガス制御を提供しています。
Caterpillarでは、お客様のマテリアルと作業現場のニーズに応える適切なボディを簡単に選択できるようにしました。
773Gでは、デュアルスロープとフラットフロアボディの各オプションをご用意しています。
Caterpillarの基本ボディには、20 mm(0.78インチ)、400 BNHスチールフロアが採用されています。高摩耗または高衝撃マテリアルに対する作業を行う場合、オプションでそれらの用途に応じたスチールまたはラバーライナを追加できます。
工場装着の追加ライナパッケージには次の2種類があります。
- 16 mm(0.62インチ)、400 BNHスチールライナ
- 102 mm(4.01インチ)ラバーライナ
- フラットフロアまたはデュアルスロープボディ用サイドボードは工場装着オプションです。
- ボディヒートダイバータキットは、デュアルスロープとフラットフロアボディのいずれの場合でもオプション装備となります。
- 追加ボディ仕様については、本書の末尾に記載されています。
Caterpillarの「10-10-20方針」
Caterpillarでは、お客様のコンポーネント寿命とトラックの稼動率を最大限に確保するための「10-10-20積載量に関する方針」を用意しています。「10-10-20積載量に関する方針」の詳細についてはCatディーラにお尋ねください。ボディ寿命を最大限に延ばすため、Caterpillarでは、積載量110 %の時間が全作業時間の10 %を超えず、全積載量の平均が目標ペイロードと同じになるよう推奨しています。目標の120 %を超える積載量はトラックの設計仕様値を超えています。
お客様のGシリーズトラックには、有益な情報を通信(および受信)できる機能があります。トン当たりコストの削減に役立つ情報
計器パネル
計器パネルは主にオペレータが使用し、機械情報をすばやく簡単に一目で確認することができます。このディスプレイは、イベント発生時にライト点灯(警告区分1)または点滅(警告区分2または3)、さらに音声警告でも警告を行います。
Catアドバイザディスプレイ
アドバイザディスプレイには次の5つのメニューがあります。1.Operator(オペレータ):10人の作業者が個別にプロフィールおよびユーザ設定を行うことができます。2.Monitor(モニタ):画面ごとに次の4つのパラメータを表示します。Payload(積載質量) - 「Payload State」(積載状態)、「Payload」(積載量)、「Target」(目標)の3つのセクションがあります。Payload State(積載状態) - 「Loading」(積込み中)、「Last Pass」(最後の積載分)、「Loaded」(積込み完了)を表示します。Payload(積載量) - 計算された積載質量を表示します。質量は確認のため2回取り込まれます。目標 - 目標積載量を表示します。3.Service(サービス):イベント、データロガー、パラメータ、キャリブレーションなどを診断します。4.Settings(設定):自動潤滑間隔、走行速度制限などの詳細な目標を設定します。5.Service Mode(サービスモード):パスワード保護されたパラメータを表示するための画面です。
VIMS™
重要情報管理システム(VIMS)は、機械情報とお客様の773Gトラックのアドバイザディスプレイから取得した積載量追跡を管理するハードウェアとソフトウェアです。VIMSは標準装備され、トラック生産管理システムと同様に、保有車両効率と機械の生産性の管理能力を大幅に向上し、オペレータに重要な機械情報を提供します。
トラック生産管理システム
Catトラック生産管理システムは、各サイクルで適切な積載量を確実に運搬できるようにし、お客様のトラックに対する投資利益を最大限に確保できるようにするものです。
- 最後の積載分になり、最大積載量まで積み込まれた時点で、インジケータサイドライトがローダのオペレータにそのことを知らせます。
- トラック生産管理システムは、2,400回の積込みサイクルを記憶し、重量、運搬サイクルタイム、距離と日付、タイムスタンプを報告します。
トンキロメートル毎時(TKPH)、トンマイル毎時(TMPH)タイヤモニタリング
このプログラムは積載量値をトラック生産管理システムから取得し、それを外気温、機械走行速度、お使いのタイヤに対するメーカーのTKPH(TMPH)定格と組み合わせて、タイヤの状態を常時計算するものです。タイヤが限界温度に達すると、キャブ内でオペレータに警告が発せられます。このCaterpillar独自の機能は、お客様にとってタイヤ寿命を延ばすための重要なツールです。
注記:TKPH(TMPH)はタイヤの逆硫化とそれに関連する損傷を防止するためのタイヤの限界温度の基準です。
Cat Product Link™
Cat Product Linkにより、機械のリモート監視が可能になり、全体的な保有車両管理の効率を高めることができます。Product Linkは車両システムに完全に統合されています。イベントや診断コード、稼働時間、燃料、アイドル時間やその他の詳細な情報は、セキュアなウェブベースのアプリケーション、VisionLink®に送信されます。VisionLink(ビジョンリンク)には、位置情報、稼働時間および非稼働時間、燃料レベルなどの情報をユーザおよびディーラへ伝達するパワフルなツールが装備されています。
*一部地域ではProduct Linkのライセンスをご利用いただけません。利用可能かどうかは、お近くのCatディーラにお問い合わせください。
Gシリーズでは整備時間節約のための改良を行い、機械の液体レベルの監視および維持を簡素化することにより、現場をクリーンに保ち、整備に関連するコストを削減します。
液体充填サービスセンター
新しい液体充填サービスセンターは、機械の前部右側面にあります。整備担当者は次のすべての機械液体類のレベルを点検できます。
- トランスミッション/トルクコンバータ作動油
- ホイスト/ブレーキ作動油
- ディーゼル燃料
- エンジンオイル
- エンジンクーラント
照明付きキーパッド上に緑色のライトが3つ点灯している場合は、液量がいっぱいで、2つ点灯している場合は通常レベル、そして1つだけ点灯している場合は液体を充填すべきであることを示しています。
キャブ液体レベルモニタリング
液体レベルは、キャブ内でアドバイザオプションメニューを使って点検することはできません。液量はすべて監視されていますが、液体レベルが安全な運転レベルを下回った場合にのみ通知されます。
電気系統サービスセンタ
電気系統サービスセンターも地上からアクセスでき、機械の前部右側バンパにあります。
このサービスセンターからは、次のものへアクセスできます。1.マスタディスコネクトスイッチ 2. 始動補助ソケット 3. ライト 4. VIMSポート 5. ETポート 6. 油圧ロックアウト 7. エンジンロックアウト 8. ブレーカ - エンジンコントロール 9. ブレーカ - オルタネータ 10. ブレーカ - 主要電気系統
ブレーキ摩耗インジケータ
Gシリーズトラックには、シンプルで時間を節約できるブレーキ摩耗インジケータが工場装着で左リアホイールに装備されており、整備者がリアブレーキの摩耗度合いを目視点検できます。
フィルタ
改良された油圧系統によりシステムの効率が向上し、通常の運転条件下での油圧フィルタの寿命を1,000時間に延長することに成功しました。エンジンフィルタは1か所にまとめられ、容易にアクセス可能です。
燃料
773Gの燃料タンクは大型化(795 Lまたは210ガロン)し、稼働時間が延長されました。タンクには、4分の1レベルと4分の3レベルで確認できる2つのサイトゲージを新たに装備しました。
キャブエアフィルタプレクリーナ
エアフィルタにはオプションでキャブプレクリーナを用意しています。このオプションを使用すると、キャブフィルタ寿命と整備間隔を大幅に延長することができます。Catの実地検証プログラム用機械では、Gシリーズでは大幅にフィルタ寿命が延びるという結果が得られました。
エアインレットフィルタ
エンジンエアインレットフィルタはアクセスしやすい場所にあり、安全でシンプルな整備が実現します。
Catトラックは、オペレータに情報と警告を与え、容易に制御可能な安全装備を持つ、快適で信頼できる操作性を提供します。
安全性
- 地上からアクセス可能な日常点検ポイント
- ミラーを使用した優れた視界(カメラ(WAVS)とキャブ内ディスプレイはオプション装備)
- 滑りにくく、マテリアルを排除した、ハンドレール付きの堅牢で安定性の高い作業プラットフォーム
- ヒンジ付き右側ウィンドウを通過するキャブ内からの緊急用避難口
- 地上からアクセス可能なロックアウト/タグアウト、ステアリングシステムロックアウト用電気系統サービスボックス
- 地上からアクセス可能な液量点検キーパッド付き液体充填センタ(オプション)
- セカンダリステアリング(自動作動式)
- 3段階ブレーキシステム(サービス、セカンダリ、エンジン)セカンダリブレーキ用赤色フットペダル
- ROPS/FOPS構造(キャブ内)
- ブレーキ摩耗インジケータ
- 3点支持ハーネスオペレータシートベルト
- ラップベルト付きトレーナシート
- ボディ上げ時の速度の制限
- 誰にでも安全な状態を確保する運搬走路走行速度制限
- スムーズで予測可能な性能を発揮するリターダ自動制御
- トラックを短時間で安定した接地状態に戻す新しいトラクションコントロールシステム
- オペレータ用キャブ内液体レベルモニタリングシステム
- TKPH/TMPH - タイヤモニタリングシステム
- ペイロード、燃料、セグメント、サイクル時間情報を表示するトラック生産管理システム
- エンジン過回転防止機能(ARC使用)
- 作業領域外のパラメータを警告する3段階の警告
Caterpillarでは、持続可能な設計が常に優先されてきました。Catトラックは長年に渡り、業界トップクラスの稼動率、ライフサイクル、部品の共通化を実現してきました。今日では、環境に対する影響を低減するためのさまざまな方法をさらに多く提供しています。
- 燃費低減機能:2つの燃料エコノミーモード、走行速度制限、自動ニュートラルアイドル、オートアイドリングストップ機能、新しいトラクションコントロールシステム
- 整備箇所の集中、エコロジードレーン、およびオプションの便利な液体充填サービスセンターと電気系統サービスセンターによるクリーンな現場環境の確保
- 前モデルと比較して50 %のキャブ騒音レベルの低減
- TCSおよびTKPH/TMPHを使用したタイヤのコンポーネント寿命の延長
- スチールスピンドル寿命の延長、新しいブレーキ設計、強化されたフレーム
- リスクなしにリサイクル、再使用が可能になるCat Reman部品
- 作動油フィルタの長寿命化(1,000時間)、プレクリーナ装備のエアフィルタ
- 他のCat装置との部品の共通化