Flat Track Speedway
Flat Track Speedway

欧州の頂に巨大ダムを造れ

キャタピラーの可能性を示す、すべてにおいて破格のスケールを誇るプロジェクト


2,000m級、3,000m級の山々が連なるアルプス山脈に囲まれたオーストリア・チロル地方。その都市キュータイで、2026年の完成に向け、巨大ダムの建設が進行しています。標高2,200mという立地に、3,300万m3の貯水量となるダム建設は、推定10億ユーロにも及ぶ巨大プロジェクト。

1980年代にキュータイ1号ダムの建設に携わったCat®ディーラーのZeppelin社は、標高2,000mを超えるこの都市にダムを築くことがいかに過酷で困難であるかを熟知していました。⼤型製品のシニアプロダクトマネージャーであるSimon Husemannは、同社が2号ダムの建設を受注するに至った理由を次のように述べます。

「このプロジェクトは、膨大な予算を投じたものであり、建設も長期に及ぶため、入札プロセスには多くの顧客が関わっていました。当社は幸い、長年にわたって欧州各国の大規模プロジェクトに参画してきた実績があり、見積りを迅速にまとめることができました。また、さまざまな現場での経験から得た専⾨知識も、顧客に安⼼感を与える材料になりました。」

キャタピラーの機械は⾼地でも使えるだろうか?
――問題ないでしょう、南⽶のアンデス⼭脈で使⽤された実績があります。 
極寒の作業環境下でも⼤丈夫か?
――ロシアの鉱⼭でも使⽤されており、耐寒性能は実証済み。

最終的に、このプロジェクトで使用されたCatマシンは工事後に、Zeppelin社に返却され、推定稼働時間9,000時間の中古車として再販する契約が交わされました。
工事には⼤型のCatマシン16台が必要とされ、ブラジル、中国、フランス、インドネシア、米国の工場に発注されました。

Simon Husemannは、またこのように語ります。
「機械を予定の期日までに現場へ届けるために、私たちはすべての工程を細かく管理し、Batam※1やDecatur※2のスタッフと密に連絡を取り合いました。1日2回、キャタピラーの物流チームと話し合いを重ね、欧州への最短ルートと輸送船の運航スケジュールを確認しました。途中、思わぬアクシデントに見舞われたが、運も味⽅に。6015B油圧ショベル2台を載せた輸送船がスエズ運河を通過したところで何週間も立ち往生する事態に遭遇したにも関わらず、幸いなことに代替機をスピーディに調達することができました。もともとSteinExpoに出展予定だったCat352クローラショベルが、コロナ禍で中⽌になったため、新車のまま現場の近くに保管されていたのです。」

一方、米国から運ばれてきたCatマシンも、テキサス州で過去30年以上経験したことのないような未曾有のひどい嵐に見舞われた。オーストリアに到着した後も、これだけ大型のマシンをトラックに載せて山を登れるかどうかという問題があった。現場へ通じる2本の道路はどちらもトンネルを通過する必要があったため、Simonは地元の自治体に確認を取り、適切なサイズのトラックを手配した。標⾼2,000mを超える現場に到着したマシンは、⼤型機械のエキスパートであるZeppelin社のサービスマンたちによって組み⽴てられ、改造が加えられました。
2台のD8Tブルドーザには、3.9m幅のセミユニバーサルブレードとXLアンダーキャレッジを取り付け、1台には3本シャンク、もう1台には1本シャンクのリアリッパを装着した。140AWDモータグレーダには幅広ブレードを装備。7台の777Gには特殊なハルドックススチール製のベッセル、2台の6015Bにはモノブロック・ヘビーデューティブームを採用した。さらに、すべてのダンプトラックにデジタルLEDの重量計と、⼭間部でもデータ通信が可能な無線アンテナを設置した。多数の⼤型機械が稼働する現場では燃料補給も問題となる。タンク容量が1,700ℓもあるため、通常の給油法では時間が掛かりすぎて作業に大幅な遅れが生じてしまう。ダンプトラックだけをみても給油に7時間掛かると見積もられた。そこで、F1の⾼速給油技術を導⼊し、わずか数分で給油できるようにした。「多くの困難に直⾯しましたが、一つひとつ乗り越え、工事は順調に進行しています。私はアルプスが好きです。ここには、まさに息を呑むような光景が広がっています。このプロジェクトに参加することは、とても特別なことです。」(Simon)

この計画で使用されたCat マシン:

/
140-ton excavators

プロジェクトを進行するうえで、困難な状況が続きました。140トンの掘削機2台がスエズ運河を通過したところで、Ever Givenコンテナ船が立ち往生し、何週間も水路をふさいでしまったのです。Catの新しいクローラーショベル352は、急遽、現場の近くで見つけることができました。SteinExpoトレードショーに出展する予定だったが、コロナウイルスの影響で中止されたばかりだった。アメリカから来た機械は、テキサス州が30年以上経験したことのない大嵐に見舞われました。

オーストリアに到着した後も、このサイズの機械が山を登れるかどうかが問題でした。道路は2本しかなく、トンネルを通れるかどうか、大きな荷を積んだトラックの移動はすべて自治体に確認しなければなりません。そして、アルプス山脈の2,000メートル以上の高地にある現場で、大型機械のエキスパートであるツェッペリン社のサービステクニシャンたちが、改造と組み立てに取り掛かりました。

1台のCat D8Tドーザには3本歯のリアリッパーが、もう1台には1本歯のリアリッパーが追加されました。さらに、3.9m幅のSUブレードとPPR XLドライブが装着されています。Cat 140 AWDモーターグレーダーも、ブレードの幅が広げられました。一方、7台のCat 777Gはすべて、特別なHardoxスチール製ボディを装備していました。2台の140トンショベルは、モノブロックHDブームにシリンダー保護装置を追加する改造が施されました。すべてのダンプトラックには、デジタルLED重量ディスプレイが取り付けられ、山間部でもデータ通信ができるように無線アンテナも変更されました。

/
140-ton excavators

また、このサイズのマシンと台数における特有の問題となるのが、給油です。タンク容量が1,700リットルもあるため、通常のポンプで給油すると時間がかかりすぎて、作業が大幅に遅れてしまいます。ダンプトラックの場合、再稼働までに7時間かかると言われています。そこで、F1で使用されている高速給油技術を導入し、数分で給油ができるようにしたのです。

ここまで困難な状況にチャレンジしてきた後は、少し離れて考えることも大切です。
「私はアルプス山脈が大好きです。この大自然の中にいるのが大好きなんです。そして、この地を訪れるたびに、文字通り息をのむような感動を覚えます。このようなプロジェクトに参加できるのは、とても特別なことです。」と、Simon Husemannは語ります。

2026年に完成するキュータイ2号ダムは、標高3,000メートルの2つの山にまたがり、3,300万立方メートル以上の水を蓄える。そして、その水力発電所はこの地域の重要な再生可能エネルギー源となるのです。

数字で見るキュータイダムプロジェクト

  • 数字で見るキュータイダムプロジェクト
  • 4年間で動かした土砂の総量: 8,000,000㎥
  • 1台の機械が1日に動かす土の量: 15,000㎥
  • アルプス山脈の標高2,200mに位置する
  • ダムが貯める水の量 33,000,000 ㎥
  • サイトが1年間に発電する電力量: 216,000,000 kw/毎時

最新ニュース、ストーリーをメールでお知らせします。